フラガール
連休中に映画「フラガール」を見た。
わざわざ見ようと思って見に行ったわけではなく、映画館に着いた時間(レイトショー)から見れる映画の中で選ぶとしたら、フラガールかワールドトレードセンターかの何れかだったのだ。どっちでもよかったけど(一人なら直感でフラガールを選んでいただろうが彼と一緒だったので)わりと前評判が良かったのを思い出して、こっちにしない?あのスパリゾートハワイアンズの誕生の話らしいよ〜(←の一言でヤツはすっかり見る気を無くしていたが)と急き立て、開演3分前にチケットを買って案内された何番スクリーンだかに入ったところ、ほぼ満席でビックリ。うちらと同じように連休中どこにも出かけずヒマな人たちがたくさんいるのかしらん?ぐらいに思って見始めましたが・・・
「昭和40年、本州最大の炭鉱として栄えた常磐炭鉱。閉山を目前に、町を救うため“楽園ハワイ”を作ろうと奮闘した人たちがいた。町のため、家族のため、友のため……そして、自分の人生のためにフラダンスに挑んだ炭鉱娘たちの物語。」
いやー、大正解でした。まず福島弁(いわき方面は若干茨城弁に近いのかな?)が懐かしくそれだけでポイントアップ。スパリゾートハワイアンズ(常磐ハワイアンセンター)は行ったことあるし、炭鉱閉山の跡地利用みたいなので出来たって話は知ってたけど、こんなプロジェクトXみたいな誕生秘話があったとは。
隣に彼がいたのでちょいと恥かしかったけど、どうしても涙が止まらない場面がありまして、それは(見てない人がいたらネタバレになっちゃうんだけど)主人公の紀美子を誘って一緒にフラダンスを始めた親友の早苗が、炭鉱で働いているお父さんが解雇され北海道の夕張(炭鉱)に一家で引っ越すからフラを諦めなくてはいけなくなった、ってのを二人で話しているシーン。ここでの生活から抜け出すためにフラダンスを始めたのに諦めざるをえない早苗の状況や気持ち、そして親友の紀美子に夢を託すやり取りがもう涙なしでは見れませんでした。
人は明日に夢と希望が無ければ。
関係無いけど、忌野清志郎のNEWアルバムのタイトルは「夢助」です。こちらも感涙モノの名曲がずらり。どうして音楽は、キヨシローの声は、こんなにも人を勇気づけることができるんだろう。早く元気になって戻ってきてくれることを願ってやみません。
フラガールに戻って、全編に流れるジェイク・シマブクロのウクレレ、あれも良かったなあ。サントラ買ってみようかしら。
でも、あの炭鉱の風景が自分が生まれる数年前の話ってことをあらためて知らされて、色々考えちゃったな。「炭鉱」ってキーワードは子供ながらにすごく記憶には残ってるんですよ。三井三池炭鉱や夕張炭鉱、たぶん事故や閉山のニュースが主だと思う。
富司純子(主人公のお母さん)がお国の発展のために身を削って石炭掘って一家で頑張った(この家はお父さんが事故で亡くなっている)、そうすることが当然だ、みたいな話を淡々とするシーンがあるんですね。ストーリー中でも落盤事故が起きて、南海キャンディーズの静ちゃん(いい味出してました!)扮する小百合のお父さんが亡くなるエピソードがありました。
一体どんな歴史が積み重なって今の日本の姿があるのだろう。そこにはこの映画に出てくるような市井の人々の人生がいくつもあるわけで。と、そこでなぜだか新しい首相の顔が浮かんじゃいましたよ。これからこの国はどうなっちゃうのかねえ、この国を築き上げた色んな人々の思いをムダにしないで欲しいよと。。
見終わってから彼と、してみると常磐ハワイアンセンターって、バブル期に建てたテーマパークの類は軒並み失敗してるけど、ちゃんと潰れず残ってるんだからスゴイよね。それにしても、炭鉱で働いていた人全ての雇用は吸収できなかったわけで、仕事無くなった人達はどこ行ったんだろ、高度経済成長期だったし東京に出稼ぎ行ったんじゃない?他にも仙台とかいわきなら日立にも行ったのかねえ当時なら工場での働き口があったと思うよ、などと話したり。
他にも学生時代の彼とスパリゾートハワイアンズに行った時のこととか(12,3年前?!)、そんなのもしみじみ思い出してしまい、何のきなしに見た映画なのに、見終わってみたら色々と考えることが多かった作品でした。
あちこち話が飛びましたが「フラガール」、見て損はないと思います。これ見よがしのお涙頂戴の物語ではなく、笑って泣いて最後にニッコリ微笑んで、これぞ邦画って趣きの佳作です。